災害看護とは、災害の発生によって必要な医療を受けることが出来なくなり苦しんでいる人の応急処置を行ったり、また災害によって家族や知人を失った人の精神的ショックを緩和させ、さらには同時に周辺環境の衛生改善をも目的として行われる医療援助のことをいいます。
通常必要な医療機材や薬品なども不足している中で、臨機応変に周りの状況を見ながら被災者と向き合い、さらに公衆衛生等の環境にも対応していかなければならないこの仕事は、とても困難を要するでしょう。しかし、地震や津波など自然災害の起こりやすい日本では災害時の医療ケアの必要性が高まっています。
この災害看護が注目されるきっかけとなったのは、2011年3月に発生した東日本大震災でした。災害発生後すぐ災害支援ナースが現地に派遣され、24時間体制で避難所に常駐し被災者のけがの処置やメンタルケアにあたりました。また、被害の大きかった宮城県の看護協会には現地対策本部が立ち上げられ、3700人以上の災害支援ナースが奔走したのです。
災害支援ナースになるには、実務経験年数が5年以上であること、災害支援ナース養成のための研修を受講していることなどのいくつか要件を満たしたうえで、各都道府県の看護協会に登録されている必要があります。そして災害が発生した時には、災害の規模に応じて「レベル1・2・3」に区分し、都道府県看護協会などが災害支援ナースの派遣調整を行うものとなっており、今後も大地震などの自然災害の発生が危惧される中、災害看護のさらなる発展が期待されているでしょう。