通常の看護業務とは異なり、災害看護では予測不能な状況下で迅速かつ的確な判断が求められるため、高度な専門知識と同時に柔軟性と臨機応変な対応力が必須です。災害発生時は多種多様な怪我や疾患の患者が続出し、基礎的な医療知識はもとよりトライアージのスキルも重要となってきます。トリアージは限られた資源の下、効率を発揮するうえで不可欠です。
災害看護では、コミュニケーション力も大切でしょう。混乱と不安に満ちた環境の中で、患者やその家族、ほかの医療スタッフとのコミュニケーションは、適切な医療と精神的な支援につながります。特に精神的な安定を求める患者は多く、言葉とともに非言語的なコミュニケーション力が大事です。
また、災害看護ではチームワークが成功の鍵を握ります。医療スタッフと協力しながら、一人ひとりの能力を最大限に活かすことが求められるでしょう。そのためにはリーダーシップが必要ですが、一方でフレキシブルに役割を変える柔軟性も欠かせません。即時の判断力とチーム内での役割の適応能力が、難しい状況の中でも効率的な医療を実現するのです。
災害時には常に肉体的、および精神的なストレスが伴います。そこで自己管理能力も、災害看護では意識しておきたいスキルです。自分の健康状態を管理してストレスに対処することで、長期にわたる災害支援活動を持続可能にするでしょう。自己とチームのウェルビーイングを維持することは、質の高い看護を提供するうえで欠かせない要素です。